たんぽぽ村にはいろんな仲間が住んでいます。
カラスのかんちゃんは とっても優しいカラスの中のからすです。
ある日、かんちゃんは冒険の途中で とっても素敵な女の子をみつけました。
その彼女は、人間という空を飛べない変なカタチの生き物と一緒に暮らしていました。
かんちゃんは 彼女を見たとたんに心臓がドキドキして、
なんだか落ち着かなくなりました。
それなのに また、彼女に会いたくて、彼女の家のそばの大きな木に
毎日、毎日通いました。
姿が見えないと、寂しくて泣きたくなりました。
夕暮れが、大嫌いになりました。
早く朝が来ないかなぁ・・・・
朝が来て、空がカラッと晴れた天気の良い日に
彼女はベランダという所にカゴに入れられて出てくるのです。
人間がそばを離れた時、かんちゃんは彼女のそばまで行って挨拶をしました。
バサバサバサッ・・・ 「こんにちは! 僕はカラスのかんちゃんです。キミは?
キミの名前が知りたいな。」
「・・・・・。」彼女はびっくりした顔でかんちゃんを見ていました。
かんちゃんは 上から下まで真っ黒の素敵なカラスでした。
彼女はどこかちょっと違っていました。
彼女はすごいことに人間と同じ言葉を話せるのです。
ある日 人間が彼女のことをキュウちゃんと呼んでいました。
「キュウちゃん、オ・ハ・ヨ~」キュウちゃんはそれに答えて「オ・ハ・ヨ~」
それを見ていたかんちゃんは、ますます彼女を尊敬しました。
かんちゃんも彼女と仲良くしたくて人間の言葉を話したいなと思いました。
かんちゃんは キュウちゃんを大空の下に連れ出したくてたまりません。
窮屈そうなカゴの中より、素敵なたんぽぽ村の美味しい水や、可愛いお花を教えてあげたいのです。
この夕焼けも彼女と一緒にみられたら・・・きっと、大好きになるだろうな・・・・・
ある日 かんちゃんは 一生懸命おめかしをしてキュウちゃんが出てくるのを待ちました。
今日のかんちゃんは、それはそれは黒く、羽根もつややかでかっこよかったのですが キュウちゃんはあんまり関心がなさそうでした。
心の内を打ち明ける愛の唄を「かぁ~、かぁ~、かぁ~♪」と歌いました。
するとベランダから現れた大きな人間が、「なんだ、このカラスは!あっちへ行け!」と、そこにあったホーキを降り下ろしました。
バサバサバサッ・・・・
羽根が一つ落ちました。かんちゃんの自慢の羽根でした。
キュウちゃんは黙ってみてました。
かんちゃんは近くの木にとまり振り向きました。
もしかしたら、キュウちゃんが追ってきてくれるかもしれないと思ったからです。
「おはよー」「愛してるよー」「おやすみ」「・・・・」
キュウちゃんにとっては かんちゃんは仲間でもなく、どうやら必要では無かったのです。
生まれた時から人間と暮らしている九官鳥のキュウちゃんは、自分が鳥だと知らないのでした。
「かぁー、かぁー、かぁー」もう一度近づいて呼んでみました。
「また来たな!しつこいカラスめ!あっちへ行け!あほー!!」
彼女も「あほー」と口真似しました。
「カァー、カァー、カァー、・・・アホォー・・・」
かんちゃんの恋は終わりました。
たったひとつ覚えた人間の言葉は「アホー」でした・・・。
かんちゃんは その時ホーキで心臓がつぶれたかと思いました。
心は夜のように真っ暗に沈んで大事な何かを羽根と一緒に落っことしてきてしまったようで、どこか・・・・、お腹の奥の奥がぎゅうっと痛みました。
「もう二度とこんな思いはしたくない」
かんちゃんは なるべくひとりで過ごしました。
ある日 人間の町に出かけてみると 鎖につながれたまましょんぼりとしている犬のピースに出会いました。
犬のピースも人間の和子ちゃんに恋をしていました・・・
だけど和子ちゃんは夢を抱いて都会に行ってしまい、ピースは和子ちゃんのパパに世話をしてもらっていました。
それでもやっぱり大好きな和子ちゃんと遊んだ日々が忘れられなくて、ピースは時々切ない声で遠吠えしていました。
かんちゃんは ピースの気持ちがよくわかりました
「僕も切ない恋をしたんだ…君も辛いんだね。でも、きっといつかいい思い出になって、もっともっと素敵な恋に出会えるはずさ」
そう言うとかんちゃんは、ピースのそばに お寺の墓地のお団子を一つ落としてあげました。
かんちゃんは この頃とても元気になりました。
辛い経験も優しくなるための必要なことだったんですね
時々、「アホー」という人間語を話す、ちょっとインテリで優しいカラスをみかけたら、それがきっとかんちゃんです。
カンちゃんやピース君が 自分の心に咲いている大きな素敵な愛に気づく頃
たんぽぽ村に、また、春が来ます・・・・。